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白碧の星 2




桜はなにか押し付けられた感覚で目を覚ました。

そこは完全な洋づくりの部屋で、身のみが酷く怯えた。

外国の物事や人に対して抵抗が無いわけではなかったのだが、異国の人間を見るのは初めてで、酷く萎縮してしまっていた。


身の危険すら感じた桜でもあったが助けられた事に気がつくと。
「今は身体を休めて・・・眠っていい。」


紫濃の長い髪を持った青年とも年配とも取れる姿。

どこか遠くで合った事があるような人柄に、桜は惹かれた。

その男性は、相当無理して飛んできた桜を察し、彼は脇に置いてある数多くの薬品の瓶のいくつかに手をつけ、飲むよう勧めた。

彼の名はRigelライジェル。
冬の寒空に大空をまたいで移動する源氏星からつけられた彼の名から、桜が解る事は周囲から期待をもって付けられた事だった。



「大丈夫。」

怯えきって、薬を手に取ろうとしない桜をみるとベッドの脇に置いた。



蒼、赤、などの様々な色の瓶、ガラスでできた西洋の器が午後の日差しが優しくさしこんでいる。

あたたかな日差しの空気が部屋を、薫りの一段と良いエッセンスを抽出するためのフラスコがぐつぐつとアルコールランプの炎から熱せられ、どんどんその芳香でもって部屋を満たした。

時計が音をたてる。

ガッコンと鳴るとオルゴールが響きわたる。


記憶にはっきりと刻まれた旋律に桜ははっとする。

オルゴールの方をはっきり見ている桜を、ライゼルは驚きを隠せず見ていた。

見た事のある指の形。

似ている髪の細さ。

肩の形から肌の白さまで、そして足の爪の形までもが全てを覚えている。

忘れる事のない。

かつて愛した人の姿形に。

ライジェルはその遺影を桜に写していた。




部屋に彼女を残して扉を閉めた彼は思い起こしていた・・・・・・。




過去。
紅い炎を背に赤茶く日に焼けるように透けた黒髪を。
その光景はまさしく鬼神とも、悪鬼ともいえぬ姿で「紅葉」と言う・・・その名を。

もう居なくなってしまった。
その姿そっくりの娘が扉の向こうで、いままさに息をしているのだ。



ライジェルは拳を握りると、きつく爪をたてた。

信じられなかった。

自分をかたくなに拒み続け身すら抱く事も叶わなかった女の娘が部屋の向こうに居る。

それだけで全身をわなわなとふるえが襲った。

「紅葉・・・・どこで何をしていたんだ・・・」





お互いを解り合えていた恋人になるはずだった。
出会った時そう強く惹かれ。



抱いた強い愛ゆえに抗い続け。

離れてしまったのだ。




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Author:碧SAKURA
アニメを見てから薄桜鬼のFANに。
ポテトと猫が好きな同人作家

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